キチン・キトサンについて

(1)キチン・キトサンという名をよく聞きますが、どういうものですか?

キチンはカニやエビなどの甲殻類や真菌類の細胞壁に含まれている食物繊維の一種です。キトサンはキチンを脱アセチル化したうえで細長く結合させたものです。

(2)キチン・キトサンにはどのような効果があると言われているのですか?

血中コレステロール低下作用、脂質吸収阻害作用、血圧効果作用、尿酸代謝改善作用、糖尿病改善作用などがあると言われています。

(3)キチン・キトサンは腸から吸収されるのですか?

吸収されません。基本的には食物繊維ですので、腸の中を消化されずに通り過ぎ、やがて便として排出されます。

(4)キチン・キトサンは食物繊維の一種であると聞きました。ということは野菜などの食物繊維と同じなのですか?

決定的な違いが1つあります。多くの食品中に普通に存在するセルロースなどの食物繊維は電気的にみると中性、もしくは陰電荷を帯びています。しかし、キチン・キトサンは陽電荷を帯びています。そのために胃腸の消化管内で、胆汁酸や核酸、リン酸、塩素イオンなどを吸着することが期待されます。そのことにより、コレステロール低下や尿酸値の低下などの生体への作用が発現することが期待されます。

(5)キチンとキトサンは同じ働きなのですか?

違います。キチンもキトサンももともとは水には溶けません。しかし、キトサンは酸性溶液に対しては溶解性を示します。つまり酸の強い胃液には溶解するのです。キトサンが胃液に溶解すると、ネバネバになります(ゾル)。その際に酸性物質に対する吸着能が高まり、胆汁酸や核酸、リン酸、塩素イオンなどが吸収されないように働くという可能性が考えられます。

(6)キチン・キトサンは糖尿病に有効なのですか?

もともと、食物繊維には炭水化物の消化吸収を遅らせる作用があることが知られています。特に、キトサンの場合は、胃内で粘性の高いゾルになった後、糖質を取り込んで糖分の消化吸収を通常の食物繊維以上に阻害する可能性が考えられます。実際に、ラットなどを用いた動物実験では血糖値が低下したという結果が得られているようです。

(7)実際に人にキチン・キトサンを投与したら、早朝空腹時血糖値やヘモグロビンA1cが低下するのですか?

多くの糖尿病または糖尿病予備軍の人にキチン・キトサンを試してもらいました。個々の人をみるとある程度低下した人もいましたが、キトサンだけの効果かどうかは確認できませんでした。したがって、確かに糖尿病の各数値が有意に改善したという確証は得られたわけではありません。しかし、尿酸値が低下する人は大勢見られました。消化管内で何かの作用を発現しているのは間違いなさそうです。

以上から、「糖尿病に本当に効くのか?」と訪ねられると「個人差があります。身体に作用することは間違いなさそうですので、実際に早朝空腹時血糖値やヘモグロビンA1cが低下するかどうかを、ご自分の身体で試すのが一番いいでしょう」と答えることになります。

(8)キトサンには尿酸値を改善効果があるのですか?

あると言えます。キトサンが胃液に溶解してゾル上になった後、食物中の核酸(尿酸の材料になる)を吸着して吸収を抑制するメカニズムは実際に有効なようです。

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