糖尿病の心理状況に関して

目次

(1)糖尿病といわれましたが、どうもピンと来ません。なんの症状もないのですから。それなのに治療に取り組まなければいけないのですか?

治療に取り組むべきかどうかは、最終的にあなたが決める問題です。医師側は治療に取り組まずに放置していると、間違いなく悲惨な結末を迎えますよと忠告しているに過ぎません。あなたがこうしようと決めたことに対しては、決して他人を恨んだり責任を転嫁しないようにしてください。

(2)数年前に、糖尿病といわれましたが、症状もないし、放ったらかしになっています。いまさら、病院に行くのもどうかと思うのですが・・・

近所の病院へ行って「昔に糖尿病と言われましたが、その後放ったらかしにしてしまいました」と正直に語ってください。「そんなことではダメですよ」といわれますが、特別に叱られたりはしません。そして採血してもらえます。採血の結果の血糖値とヘモグロビンA1cをよく聞きだしておきましょう。

その結果どうするかは最終的にはあなたの責任で考えてください。我々医師は、糖尿病性網膜症で目が見えなくなって、家族に大変な苦労をかけている患者をよくみています。そのことは必ず念頭において、どうするべきか判断してください。

(3)糖尿病といわれました。ショックのあまり生きていけません。どうしたらいいでしょうか?

糖尿病患者が100人いたとしましょう。そのうちの80人が約20年以内に糖尿病性網膜症を起こし、眼が不自由になっています。正しく治療に取り組んだ20人は合併症を起こしていません。きちんと治療に取り組めば大丈夫ですから、がっかりする前に糖尿病についてよく学んで、適切な治療に末永く取り組んでください。

(4)好き放題に暴飲暴食していた時代が懐かしいです。もうあの頃のような生活はできないのでしょうか?

「あの頃」の生活は諦めるのが原則です。しかし、それでは人生の楽しみが完全に失われ、かえってその後、治療を放棄してしまうことがあります。やむを得ないときは期間限定で「あの頃」の生活を認めることが可能です。

変則的食事療法」と「薬を使いこなす」の項をよく参考にしてください。

(5)糖尿病の治療のために、毎日薬を飲んでいます。窮屈な思いで生活しています。まさに「薬は鎖」です。薬をやめることはできないのでしょうか?

体重が減って運動量も増えたときに薬を中止できることがあります。しかし、長期間薬を飲んでいた場合は、中止するのは通常は困難です。

(6)ちょっとぐらいお酒を飲んでもいいのじゃないかと思いますか・・・

お酒がストレス発散として、あなたの健康管理に大きな効果があるのなら、ヘモグロビンA1cや空腹時血糖値を調べながら、ときどきお酒を飲むことは可能です。ただし、アルコールの総量に関して厳しく自己規制できなければいけません。「飲み始めるとついつい気が付かないうちに・・・・」という人はお酒オーケーにはなりません。

(7)薬をちょっと飲んで糖尿病が治る、ということはないのですか?

糖尿病は「治る」というものではなく、「気長にいい状態にコントロールする」というタイプのものです。風邪薬のように数日間薬を飲んであとはかってに治るというものではありません。

(8)薬を多めに飲んでその代わり自由に生活したいと思うのです。だめですか?

やむをえないときは期間を限定して、そのような治療に取り組むこともあります。ただし、あなたが糖尿病を自由自在に操れるほどの知識を身につけなければいけません。

(9)いくら頑張って治療に取り組んでも、いっこうによくなりません。気分的に焦れてきました。

通院する病院を代えてリフレッシュするのも1つの方法です。治療理念の違う医師と出会うとよくなることがあります。前の病院の血液データのコピーをもらっておいてください。

(10)がんばっているつもりなのですが、担当医はいっこうに認めてくれません。「こっそり食べているのだろう」とか「ほんとうは、運動していないのだろう」などと決め付けられています。病院を代えるべきですか?

通院している病院に執着する必要はありません。治療データのやり取りだけでなく心のやりとりも共有するのが本当の主治医というものです。血液データをもらって他の病院に通院するようにしてください。

(11)今の担当医と相性があわないので通院する病院を代えたいと思います。しかし、今までの検査データなどが通院中の病院にしかありません。どうしたらいいでしょうか?

本来、検査データは医師だけのものではありません。あなたと医師の共有物です。ですから、日ごろから採血結果を聞き出してメモしておく心構えが必要です。メモしていなかったら「勉強したいと思いますので、今までの血液データのコピーをもらえませんか」と話し出すといいでしょう。

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