食事療法のコツ

目次

(1)糖尿病でない人には、糖尿病の食事療法は必要ないのですか?

糖尿病の食事療法は、ダイエットの食事療法にも活用することができ、成人病予防全般に効果があります。

(2)食事療法の考え方の基本とはどのようなものですか?

インスリンの量的不足や作用的不足が原因で糖尿病が発病されます。食事のあり方を上手に組み立てなおして、インスリン余力の範囲内にとどめようとするのが、食事療法の考え方の基本です。

(3)長年、接待や交際で外食ばかりでした。急に食事療法といわれても心理的にピンと来ません。一般的な食事の組み立てとはどのようなものなのですか?

主食+主菜+副菜の組み合わせです。主食はごはん、主菜はメインディッシュで肉料理や魚貝類料理、卵料理大豆料理などが一品、副菜は野菜、キノコ、海藻、小魚などを複数です。世間的には、食事(夕食)といえば、その程度の量なのです。外食続きのあなたが、いかに高カロリーの食生活をしていたかがわかるでしょう。

(4)堅苦しい食事療法の話を聞かされてうんざりしています。気軽になる方法はないですか?

「食べてはいけない」と考えるのではなく、「まんべんなく食べる」と考え直してください。「特に旬のものをまんべんなく食べる」と考えるのがいいでしょう。

(5)野菜を多く取ったほうがいいのですか?

たっぷり食べるようにしてください。3つの効果があります。1つは、他の食べ物の量が自然に減る効果、1つはエネルギーは低いが満腹感を得られる効果、もう1つが、野菜に多い繊維質が食後の急な血糖上昇を抑える効果です。

(6)ドレッシングやマヨネーズを使っていいのですか?

マヨネーズを使ってはいけません。ドレッシングはノンオイルドレッシングにしてください。もしオイルを使うときは、「シソ油」にしてください。シソ油は体内でEPA(エイコサペンタエン酸)に変換され、心筋梗塞や脳梗塞の予防に働きます。

(7)どのような野菜がいいのですか?

ブロッコリーやにんじんなどの硬い緑黄色野菜が一番のお薦めです。それらが好みでなければ、こだわる必要はありません。とにかく野菜量を増やすことが大切です。

(8)油料理は控えなければいけませんか?

おいしい食事、贅沢食には大量の油が使われています。油が多いと味わいが滑らかになり、味そのものに奥深さが出るからです。その油を控えるのはつらいことですが、油のカロリーは高カロリーですので、控えざるを得ないでしょう。

(9)天丼やカツ丼、天ぷら、すき焼き、ロースステーキなどのいかにも油が多そうな料理をもし食べるとしたら、朝、昼、夕のいつがいいですか?

昼食にしてください。

(10)隠れ油料理ってあるのですか?

それほど油を使っていなさそうに見えるのに実は大量の油を使っているという料理を「隠れ油料理」と名づけるのなら、次の料理が該当します。よく覚えておいてください。チャーハン、カレーライス、スパゲッティミートソース、ハンバーグ、ハンバーガー、春巻き、餃子、しゃぶしゃぶ、シチュー、野菜炒め、うなぎ蒲焼、ピザなどです。いかにも油料理というものは除きました。

(11)たんぱく質は多く食べてもいいのですか?

たんぱく質を胃腸で消化吸収するために人体はエネルギーを消費します。油が少ないたんぱく質はおすすめです。具体的には、鳥のささみ、ローストビーフ、赤身のヒレ肉、カツオ、マグロ、イワシ、アジ、サンマ、シラス干し、イカ、タコ、カニ、エビ、貝類などはお薦めです。

ただし、合併症として腎障害が現れたときは、たんぱく質は制限されますので、注意してください。たんぱく質でも、油が多くて、エネルギーが高くなるウナギ、チーズ、ロース肉、霜降り肉、ウインナ―、ソーセージ、ベーコンなどは控えたほうがいいでしょう。

(12)間食は絶対に禁止ですか?

そんなことはありません。午後3時から5時の間に少量の間食を取ったほうが、夕食の食事量を減らせることもあります。とはいえ、「食べ始めたら止まらない」という人は、絶対に禁止したほうがいいでしょう。

(13)とってはいけない間食ってありますか?

あります。気分的には少量なのに意外な高カロリーになるセンベイ、アイスクリームは、禁止してください。

(14)ご飯の代わりに丼物や麺類を頻繁に食べてもいいのですか?

いけません。鰻丼やカツ丼などのどんぶり物、ラーメン、スパゲッティなどの麺類、カレー、炊き込み御飯などは、次の3つの理由で、できる限り控えなければいけません。

  • 1つは、食欲が出てつい食べ過ぎること。
  • 1つは、野菜摂取が少なくなり、炭水化物に偏り吸収が早まる。
  • 最後の1つは早食いになりやすく、機能低下したすい臓のインスリン分泌が追いつかない。

どうしても食べたくなっても週に1回にしてください。

(15)アルコールを中止するなんて考えることもできません。

アルコールはストレス発散に役立ちます。アルコールのカロリーそのものは高カロリーですが、人体は酔っているという状態でエネルギーを消費しますので、実際に体内に残るカロリーは少量です。しかし、アルコールは別経路で血糖値を高めてしまいます。やはり控えるのが原則です。しかし、実際には長年お酒と親しんできた人がピタリとやめられるのは稀です。

そこで、まず期間限定で1ヶ月だけ禁酒して、その上でヘモグロビンA1cがどれぐらい低下するか調べてください。その低下度を知った上で、アルコールを再開すればいいでしょう。その低下度を知ると、不思議とお酒を控えようという自発的な気持ちが生まれてきます。最終的には、「1週間に何日は飲む」というような決まり方がしてきます。

(16)どうしても早食いになってしまいます。改善するいい方法はないですか?

まずは、コンビニで買ってきたものでもいいですから、サラダを1カップ以上食べてください。そして5分以上あけてから食事を開始すればいいでしょう。

(17)「カロリーオフ」と書かれた清涼飲料水なら飲んでもいいですか?

いけません。清涼飲料水は吸収が早く血糖値が急速に上がるため、インスリンへの負担が非常に大きいのが特徴です。カロリーオフと言っても糖類が入っているものがあります。清涼飲料水は完全に中止です。

(18)「果汁100%」のジュースなら飲んでもいいですか?

いけません。果物に含まれる果糖は吸収が早く、体内で素早くブドウ糖に変換されます。糖尿病の人にとって「果汁100%」は健康にいいと思うのは大きな勘違いです。

(19)野菜ジュースは飲んでもいいですか?

市販されている缶入りの野菜ジュースには、野菜だけでなく味付けのために果物や砂糖を入れていることが多いので必ず表示をみてください。

(20)少ないエネルギーでも満足感を高めるための方法はないですか?

ご飯をしっかり食べたいときは、玄米や胚芽米にしてください。また、野菜スープやけんちん汁などを多めにしてもかまいません。食べだすときは野菜類からスタートしてください。そして、よく噛むことが大切です。

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