インスリンに関して

糖尿病にはいくつかの種類がありますが、いずれも「インスリン」というホルモンが深く関わっています。分泌不足(=インスリンが足りない状態)と、肥満などによる作用不足(=インスリンがあっても血糖値が下がらない状態)、あるいはその両者が組み合わさった状態があります。逆にいえば、血糖値を下げることができるのもインスリンだけなのです。

(1)インスリンが働くと、なぜ血糖値が下がるのですか?

インスリンが筋肉や脳、肝臓などの細胞に働くと、それらの細胞は血液中のブドウ糖を細胞内に取り込もうとします。血液中の糖分が細胞内に移動した結果、血液中の糖分量は少なくなり、血糖値が下がります。

(2)インスリンって何ですか?詳しく教えてください。

まずは、1869年にドイツ人ランゲルハンスに、すい臓のある部位から放出される因子があることが知られました。発見者の名前をとって、「すい臓のある部位」は、「ランゲルハンス島」と名づけられました。1921年にカナダのフレデリック・バンティングとアメリカのチャールス・ベストによって、その部位からインスリンが放出されていることが発見されました。

インスリンは血液中のブドウ糖を各種の細胞内に移動させる際に働きます。インスリンの作用の結果、血糖値は低下します。血液中のブドウ糖を細胞内に取り込ませる以外にも、あまったブドウ糖をグリコーゲン(肝臓で蓄えられる)に作り変える作用や身体の傷を早く治す作用があります。

(3)「インスリンが十分に働かない」のは、どのような場合に起こるのですか?

以下の4つの場合です。

  • インスリンを作り出している「すい臓のランゲルハンス島」が、何かの影響(ウイルスなど)で破壊された場合。
  • インスリンが働きかける筋肉細胞や肝細胞の作用点(リセプター)の機能が低下した場合。(せっかく分泌されたインスリンが「空振り」に終わる)
  • 血糖値を上げるホルモン(副腎皮質ホルモンや成長ホルモンなど)の分泌量が多すぎて、インスリン量が間に合わない場合。
  • 遺伝的にもともとインスリン量が少ない場合。

(4)遺伝的にインスリンの分泌量が少ないのですが、将来は糖尿病になるのでしょうか?

適切な食事と適度の運動を行っていれば、糖尿病にならないですむこともあります。

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