クロムについて
(1)クロムはダイエットに効果的という話は聞いたことがありますが、糖尿病にも有効なのですか?
糖尿病患者にクロムを投与すると血糖値の低下(耐糖能の改善)がみられることから、1970年代から医学界ではクロム含有耐糖因子の存在が語られていました。また、顕微鏡下の組織学的研究で人体内にクロム親和性細胞が存在することも知られました。クロム親和性細胞は、血液中の糖分を取り込んでエネルギーとして消費して熱に代える作用があります。
以上の事実から、糖尿病治療の一手法としてクロムに関する医学研究を続けられましたが、糖尿病を即効的に改善するほどの投与を経口で行うことは困難と判断されているのが現状です。即効性がないので医療用として利用するほどのものとはいえません。
(2)クロムを長期間とりつづけると効果がありますか?
1日あたりクロム250マイクログラムをとりつづけると11ヶ月後には、善玉コレステロールが上昇することが知られています。クロムはある程度体内に蓄えられて、効力を発揮するのでしょう。長期的なクロム投与による糖尿病の改善効果については、まだ確定的な医学データはありません。
ただし、著者がカウンセリングを繰り返しながら糖尿病の治療にあたり、2~3年がかりで劇的な改善を認めた人は、すべて半年以上クロムを投与した人たちでした(1日あたり200マイクログラム)。そのことから、クロムの長期投与が糖尿病の改善に効果的である可能性は十分に考えられると思います。
(3)ダイエットを兼ねてクロムを利用するという考え方はできますか?
十分できます。血液中の余分な糖分を取り込んで熱に代える作用がありますので、もともとダイエット用に利用価値が大きいミネラルでした。クロムを摂取して運動すると同じ運動量でも消費カロリーが多くなることが知られています。その結果、体脂肪がより減少することが知られています。
(4)クロムを多く含む食品にはどのようなものがありますか?
あさり、はまぐり、ノリ類など、海の底の生物には多く含まれています。動物の肝臓にも多く含まれています。健康効果を考えるのなら、海藻類で摂取するのが一番いいでしょう。
(5)クロムの作用の仕方をもっとわかりやすく教えてください。
わかりやすく分類すると2系統の作用ということになります。
1つは、耐糖因子の構成成分となり、インスリンの作用発現に影響する作用。この作用は糖尿病の改善に役立ちます。
もう1つは、副腎髄質や交感神経終末に働きかけ、アドレナリンやノルアドレナリンの分泌を促し、熱量産生を高める作用。この作用は、ダイエットに役立つと同時に筋肉を強くすることにも関係します。
上記の2系統が重要です。それ以外に、善玉コレステロール上昇への影響も覚えておいていいでしょう。
(6)クロムは心筋梗塞の予防に役立ちますか?
虚血性心疾患患者で血清中クロム濃度が低下していることが知られています。それに関して医学界では「クロム欠乏が、脂質、糖代謝に影響を与え、その結果、動脈硬化のリスクファクターである耐糖能の低下ないし糖尿病、インスリンレベルの上昇、LDL(悪玉)コレステロールの上昇およびHDL(善玉)/LDL(悪玉)コレステロール比の低下が起こり、冠動脈疾患のリスクが高まる」と理解されています。
(7)良質のクロムを効率的に摂取する方法を教えてください。
サプリメントを利用するのが効率的だと思われます。
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