糖尿病治療の考え方

(1)糖尿病だといわれたら、どんな人も同じような治療に取り組むのですか?

人それぞれで、糖尿病の発症原因が違います。単なる太りすぎが原因になっていることもありますし、遺伝因子が大きな原因になっていることもあります。また、自己免疫が原因になっていることもあります。子供と大人でも治療の方針が変わりますし、他の病気が潜んでいてそれが原因で糖尿病になっているケースもあります。インスリン注射不要のケースもあれば、すぐにインスリン注射を開始するべきケースもあります。

したがって、本来は発症原因や年齢その他をすべて考慮して、個別に治療方針を考えるべきです。ただし、食事療法や運動療法は、すべての糖尿病患者に共通であるといえるでしょう。

(2)食事療法の基本といえばどういう点ですか?

大まかに言えば、1日の摂取カロリーを1573キロカロリーに制限することです。詳細は「食事療法のコツ」を参考にしてください。

(3)成長期の子供の食事療法についてはどうですか?

長期の子供の場合は、特に肥満である場合を除いて、原則的に食事制限は行いません。

(4)薬の内服療法をはじめるかどうかを医師はどのようにして決めるのですか?

一般的には、食事療法、運動療法を3ヶ月行ってもなおヘモグロビンA1cが6.5%以上なら、薬の内服治療をはじめようと判断します。

(5)医師が最初に投与しようとする薬としてはどのようなものが多いのですか?

一般的には、経口血糖降下薬を開始します。「グリミクロン」「オイグルコン」「ダオニール」などの薬が相当します。これらは膵臓に働きかけてインスリンを多く出させる作用を持っています。ただし、腎障害やウイルス性肝障害がある場合や手術を予定している場合は、インスリンの注射からはじめることがあります。

(6)35歳の女ですが、糖尿病といわれ薬の内服療法が始まりました。まだ妊娠、出産を希望していますが影響はないですか?

妊娠を希望している場合は、担当医にその旨をはっきりと伝えてください。インスリン注射で治療すれば、妊娠への影響は少ないと言えます。

(7)30歳のやせ型の男です。糖尿病といわれ、いきなりインスリン治療が始まりました。普通は内服療法から始めるそうですが、なぜ私の場合、インスリン注射から始まったのでしょうか?

まず、膵臓からインスリンが分泌されていないI型糖尿病であれば通常インスリン注射で治療します。一方、膵臓からインスリンが分泌されていても、若いやせ型の男性の場合インスリン治療から開始するべきだと医師は判断することがあります。また、抗GAD抗体というのが血液中に現れている場合もインスリン治療から開始します。以上のケースのどれかにあてはまっていたのでしょう。

(8)一度インスリン注射を始めると、もう一生インスリンが必要ですか?

そんなことはありません。一時的にインスリンで治療して血糖値が下がり、高血糖が持続することによる悪循環を断ち切れば、インスリンを中止して内服療法に切り替えられることもあります。

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