ブドウ糖と糖尿病に関して
(1)糖尿病とはどのような病気ですか?
「体内でブドウ糖が正常に利用されず、それによって体のいろいろな機能が低下する病気」です。
血液中の糖分濃度は、当然上昇します。もっと詳しく表現すると、「インスリンの作用不足によって生じる全身の代謝異常で慢性の高血糖を主徴とする。その異常が高度であれば口渇、多飲、多尿といった症状をきたすが、通常は特異的な自覚症状を示さない。代謝異常が長期に持続すれば、特徴のある細小血管合併症や動脈硬化が発症・進展する」というふうになります。
(2)「ブドウ糖」って何ですか?「グルコース」と同じものですか?
ブドウ糖は甘味のある砂糖の主要成分です。食物中の3大栄養素である炭水化物(ごはん、パン、麺など)が消化酵素で分解されると、まずはブドウ糖、乳糖、ソルビトールなどになり腸から吸収されます。腸から吸収された後、肝臓を通過しますが、そこですべてがブドウ糖に変換されます。したがって、炭水化物は最終的には、ブドウ糖になって血液中に現れることになります。
※ブドウ糖のことを別名で「グルコース」といいます。
(3)ブドウ糖は体内ではなんの役に立つのですか?
血液の流れに乗って全身の隅々まで運ばれて、エネルギー源になります。筋肉や脳、各臓器はブドウ糖をエネルギー源として活動しています。あまったブドウ糖は、肝臓や筋肉、脂肪細胞内に蓄えられます。
(4)食事中から摂取されたブドウ糖は体内のどこでどれぐらいの割合で利用されるのですか?
普通に生活している範囲では、脳で約25%が消費され、筋肉で約10%が消費された後、約65%は肝臓で「グリコーゲン」につくり変えられて、蓄えられます。また、約5%は脂肪組織内に蓄えられます。もちろん、食後に運動すれば、筋肉で消費される量が増えますし、食後すぐ眠ってしまえば、脳や筋肉で消費される量が減ってしまいます。
(5)血液中の糖分濃度はどれぐらいあるのですか?
血液中の糖分濃度(血糖値)は、通常は60~160mg/dlの間です。つまり、空腹が続いて血糖値が下がっても、60mg/dl以下にはならないですし、満腹に食べても160mg/dl以上にはなりません。その範囲を超えるときは、「異常あり」と判断されます。朝起きて、食事するまでの血糖値は、通常で80~110mg/dlの範囲です。
(6)血糖値が一定の範囲で保たれるのはなぜですか?
血液中の糖分濃度(血糖値)は、通常は60~160mg/dlの間です。つま低くなりすぎると空腹感が強くなり、「食べよう」という気持ちが働きます。何かを食べると血糖値は当然あがります。食べなくても、体内のホルモン(成長ホルモン、アドレナリン、グルカゴン、甲状腺ホルモン、副腎皮質ホルモンなど)が増えて、その働きで、血糖値は上昇します。血糖値が高くなると、すい臓から分泌されるインスリンが増えます。このインスリンが正常に働くと血糖値が低下します。以上の調節で血糖値は一定の範囲を保たれているのです。
(7)血糖値が低くなるとどうなるのですか?
血糖値を下げるホルモンであるインスリンが働きすぎて、血糖値が60mg/dl以下になると、低血糖症状があらわれます。
- 「イライラする」
- 「冷や汗が出る」
- 「動悸がする」
- 「いてもたってもいられない」
などの症状です。もっと血糖値が低くなって、30mg/dl以下になると、「意識が遠のく」「意識を失う」などの症状になります。死んでしまうこともあります。
(8)血糖値が高くなるとどうなるのですか?
血糖値を下げるホルモンであるインスリンの働きが十分でないと、血糖値が高くなり、高血糖の症状があらわれます。
- 「疲れやすい」
- 「喉が渇く」
- 「尿量が増える」
- 「手足がつる」
- 「おできができやすい」
などです。血糖値がもっと高くなって、500mg/dl以上になると、「意識が遠のく」「意識を失う」などの症状があらわれます。血糖値の高い状態が、数年以上続くと、
- 「目が見えにくくなる」
- 「手足がしびれる」
- 「下痢や便秘」
- 「性欲低下」
- 「むくみやすい」
などの症状があらわれます。
(9)糖尿病かどうかはどうやって確定させるのですか?
起床してから何も飲んだり食べたりしないうちの採血の結果、血糖値が126mg/dl以上なら、即座に糖尿病と断定できます。食後などでも、1回採血したところ、血糖値が200mg/dlを超えていた場合も即座に糖尿病と断定できます。
上記以外の場合は、経口糖負荷検査という検査を行います。炭酸水に溶かした75gのグルコースを一気に飲み干してもらい、その後30分~1時間ごとに採血して、血糖値の変動を調べます。2時間たったときの血糖値が200mg/dlを超えていたら、やはり即座に糖尿病と断定できます。